2015年11月18日水曜日

ペマ・ツェテン監督『五色の矢』上映会

今年の東京フィルメックスでペマ・ツェテン監督の新作映画『タルロ』が上映されます (映画祭のページはこちら)。監督の来日にあわせて『五色の矢』上映会を企画いたしました。日本初上映、一日限り、上映後にはペマ監督も質疑応答のために登壇されますので、お誘い合わせのうえ、ぜひお越しください。

◎日時と場所
日時:2015年11月27日 (金) 18:00-20:30 (17:30開場)
場所:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所3階 303号室 (大会議室)
交通案内:http://www.tufs.ac.jp/access/tama.html
  • 申し込み不要、参加無料です。
  • 映画は英語・中国語字幕版による上映です。
◎主催:東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「言語の動態と多様性プロジェクト」(LingDy2)   担当 星 (hoshi@aa.tufs.ac.jp)

映画『五色の矢』より。中央は主演のリンチェン・トンドゥプ。


◎『五色の矢』概要
གཡ་མདའ། / The Sacred Arrow / 五彩神箭
2014年公開 / 96  / 言語:チベット語 / 字幕:英語中国
監督・脚本:ペマ・ツェテン 
製作:サンジェ・ジャンツォ
撮影:ノルペン
音楽:リッキー・ホー
録音:ドゥッカル・ツェラン
出演:リンチェン・トンドゥプ、ソナム・ニマ、デキ、ロプサン・チュンペ、トプギェ
発行:Beijing Himalaya Audio & Visual Culture Communication Co., Ltd.

 映画『五色の矢』は、ペマ・ツェテン監督による『静かなるマニ石』、『ティメー・クンデンを探して』、『オールド・ドッグ』の三作品に続く四作目のチベット語映画である。この作品は、チベットの農村に伝わる伝統的な弓術を題材にした映画である。ペマ・ツェテン監督のこれまでの芸術的な創作スタイルはそのままに、千年にわたって伝承されてきた民俗文化を映像化したこの作品は、映画としての面白さをも兼ねそなえたものとなっている。
 ペマ・ツェテン監督は、これまでの映画では素人を起用することが多かったが、この作品では中国の映画界でも活躍するチベット人スター俳優を起用している。リンチェン・トンドゥプやソナム・ニマという長身で美形の人気男優を主役に据え、ヒロインにはデキという清楚な美人女優を起用し、名優と名高いトプギェとロサン・チュンペルで脇を固めている。チベット人俳優の演技を大画面で目の当たりにできるのはこの映画の魅力の一つであろう。
 映画は千年以上前のチベットの歴史を背景に、それと重ねあわせるように、二つの村の間で競われる弓矢の伝統競技を軸として、現代の若者たちのぶつかり合いと友情、そして成長を描いていく。チベットの美しくも迫力のある自然を余すことなく映しだした映像は文句なしに美しい。物語の中にはチベットの片田舎で受け継がれてきた伝統的ないくつもの風習が丹念に織り込まれており、観る者をチベット絵巻の世界に誘ってくれる。この映画がなかったら伝わらないチベットの魅力がある。そんな力強さをもった映画である。

映画『五色の矢』ポスター。


◎ペマ・ツェテン監督プロフィール
1969年生まれ。チベット・アムド地方ティカ(中国青海省海南チベット族自治州貴徳県)出身。映画監督、小説家、翻訳家として活躍する。これまでの映画作品についてはペマ・ツェテン映画祭について(2013年12月開催)にまとめられているので、ご覧いただきたい。小説は翻訳されて勉誠出版から『チベット文学の現在 ティメー・クンデンを探して』(ペマ・ツェテン著、チベット文学研究会編、星泉・大川謙作訳、2013年)が刊行されている。この作品集には東京フィルメックス出品作『タルロ』の同名の原作が収録されているので、関心のある方にはぜひ手にとっていただきたい。

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