2018年2月16日金曜日

SERNYA vol. 5

装丁画 蔵西
『チベット文学と映画制作の現在 SERNYA (セルニャ)』vol. 5が2018年3月に刊行になります。今号の巻頭特集は『闘うチベット文学 黒狐の谷』刊行一周年を記念して「ツェラン・トンドゥプを読み解く」。表紙には肩に黒狐を乗せた作家本人にご登場いただきました。

文芸翻訳コーナーには、ツェラン・トンドゥプの1990年代の小説や、ラシャムジャ、そして新人ツェワン・ナムジャのチベット語小説の翻訳を掲載。毎度おなじみペマ・ツェテンの漢語小説の翻訳も。ジュ・カザンによる詩は、野生ヤクに寄せるチベット人の熱い思いを謳い上げた作品。蔵西さんによる渾身のイラストとともにお楽しみください。

この他、小特集として「牧畜民の社会進出」。新しい時代の牧畜民のユニークな生き方に注目します。

3/27-28の『チベット牧畜文化辞典』(パイロット版)リリース記念イベントで配布予定です。イベントについてはこちら→3/27 昼の部夜の部、3/28 ワークショップ 
なお、送付のお申込みも4月からスタートいたしますのでお待ちください。

◎もくじ (☆印はチベット語原文部分あり。今回はゾンカ語も)
巻頭特集:ツェラン・トンドゥプを読む
翻訳者座談会 --海老原志穂×大川謙作×星泉×三浦順子 
日本の読者へ --ツェラン・トンドゥプ/星泉訳

文学と人類学の親縁性:ツェラン・トンドゥプ作品集の日本語訳出版に寄せて --シンジルト
「闘うチベット文学」の著者ツェラン・トンドゥプの祖先たちの闘いの歴史 --岩田啓介
『黒狐の谷』の楽しみ方:作家のフィルターを通したオムニバス映画の味わい --西田愛
「地獄堕ち」:アムドの現代史とロブザン・ジャンツォの人生 --小松原ゆり
「美僧」:予言と未来への可能性 --小松原ゆり

チベット文学の現在
〔小説〕

お待ちしてます --ツェワン・ナムジャ/星泉訳
轢き殺された羊 --ペマ・ツェテン/大川謙作訳 
西の空のひとつ星 --ラシャムジャ/星泉訳
小便と名誉 --ツェラン・トンドゥプ/三浦順子訳
鬼 --ツェラン・トンドゥプ/三浦順子訳

 〔詩〕
野生ヤク --ジュ・カザン/海老原志穂訳/蔵西画

私の前世は犬だったかもしれない:
  ペマ・ツェテンによるタクブンジャへのインタビュー --大川謙作訳

チベット男は胸を叩く --三浦順子
チベット文学に触れる:小さな巡礼の記録 --大東和重
チベットの青いカッコウ:歌手ドベ --ダツァン・ホワンカルジャ/海老原志穂訳

映画『草原の河』日本公開記念
映画『草原の河』の宗教世界 --村上大輔
『陽に灼けた道』妄想映画評 --三浦順子
ソンタルジャ監督来日同行記 --海老原志穂

小特集:牧畜民の社会進出
牧畜の衰退とローカルなベンチャー精神:チベット牧畜社会からの報告 --別所裕介
木製電動攪乳機の開発:元牧畜民のローカルイノベーション --星泉
持続可能なチベットコミュニティへを目指して:若きチベット人活動家の挑戦 --海老原志穂

現代チベット事情
アムドの歌垣 --中原美和
アムドのベジタリアン事情 --小野田俊蔵
アムドのゴリ --小野田俊蔵/写真 ホァンクル・ツェラン
チベット人のSNS事情 --井内真帆

書評
交叉点からの風景:『チベット 聖地の路地裏—八年のラサ滞在記—』 --海老原志穂
新刊『ニューエクスプレス チベット語』紹介:半世紀のチベット語研究の結実 --浅井万友美

シリーズことわざ 

☆ブータンのことわざ --海老原志穂

研究の現地還元
ラダック・ドムカル村ガイドブックの執筆と出版:現地調査は誰のため? --山口哲由
チベット牧畜文化辞典パイロット版:

   iOS版、オンライン版、冊子版の三形態での公開を実現 --星泉

2017年5月22日月曜日

作家インタビュー タクブンジャ × ペマ・ツェテン

『ハバ犬を育てる話』(東京外国語大学出版界、2015年)の著者タクブンジャと、映画監督であり小説家として著名なペマ・ツェテンは親しい友人同士です。ペマ・ツェテンはタクブンジャのファンでもあり、多くの作品を漢語に翻訳する、漢語読者への紹介者でもあります。
2016年に『青海湖』という漢語の文芸誌にペマ・ツェテンによるタクブンジャへのインタビュー記事が掲載され、それがたいへん興味深い記事でしたので、チベット文学研究会の大川謙作氏による翻訳でお届けします。



私の前世は犬だったかもしれない

タクブンジャ(教師、小説家)
聞き手・構成 ペマ・ツェテン(映画監督、小説家)
日本語訳 大川謙作
タクブンジャ(撮影:海老原志穂)

犬シリーズについて

ペマ・ツェテン(以下PT):昨年(2015年)はあなたにとっては豊作の一年でしたね。日本語版の中短編作品集『ハバ犬を育てる話』が日本で出版されたし、青海民族出版社からは2冊目の短編集『キャプロの長い髪』が、四川民族出版社からは2冊目の中編集『老人と牛』が出版されました。本当に嬉しく思っています。おめでとう!

タクブンジャ(以下TG):ありがとう。ありがとう。

PT:確か、昨年は犬をテーマにした小説も何本か書いていましたよね?

TG:そう、五本ほど書きました。それを青海省内外の文芸誌に発表することができたことも昨年の大きな収穫だと思っていて、そのことには自分でも割と満足しています。

ペマ・ツェテン(撮影:星泉)
PT:それでは、そちらの業績にもおめでとう、と言っておきましょう。さて、ぼくの見るところ、あなたは今現在のチベット母語作家たちの中で、もっとも創作意欲が旺盛で、かつ途切れなく作品を発表している作家だと思います。長編、中編、短編なんでもござれで、しかも作品数も多い。ぼくはあなたの小説は基本的にはすべて読んでいて、たくさんの小説を漢語に翻訳したこともありますが、中でも「犬シリーズ」は、ぼくにとっても印象的で、読者たちの反応も大きいものでした。今回のインタビューでは「犬シリーズ」をテーマにしたいと思っています。まずは、どうして犬をテーマにした小説を書くのが好きなのか、そしてどうしてそんなに犬のことを巧みに書くことができるかについて、話してくれませんか?

2017年5月13日土曜日

チベット文学ナイト 黒狐の夜

6月2日 (金) に、神保町のカフェ、サロンド冨山房Folioにて、久々のチベット文学ナイトをやります。


2013年にペマ・ツェテン監督来日時に荻窪の6次元で実施して以来ですので、実に3年半ぶり。今回はチベット現代文学を代表するツェラン・トンドゥプの傑作小説集『闘うチベット文学 黒狐の谷』の刊行を記念して、チベット文学研究会のメンバーが文学について、そして映画についても語ります。ツェラン・トンドゥプの声の出演もあるかも!?

チベット文学なんて読んだことない、知らなかったという方にも魅力を感じていただけるイベントにしたいと思います。ぜひお越しください!

イベント詳細、お申込みはこちらから

担当編集者・堀郁夫さんによる2013年のチベット文学ナイト潜入記もどうぞ

2017年4月8日土曜日

『黒狐の谷』刊行記念座談会〜桜の樹の下には、けだるいチベット文学翻訳家たちがいる〜

外国文学好きの茶人、佐倉舞(さくら・まい)さんのお招きで、満開の桜のもと開かれた「野点の会」にチベット文学研究会一同、参加してきました。当日の座談の記録をまとめましたのでどうぞお読みください。

茶人・司会:佐倉舞
チベット文学研究会:海老原志穂 大川謙作 星泉 三浦順子



2017年3月31日金曜日

『闘うチベット文学 黒狐の谷』見本できました!

ツェラン・トンドゥプの邦訳小説集『闘うチベット文学 黒狐の谷』(勉誠出版)がようやく形になりました! 

タクブンジャの『ハバ犬を育てる話』(東京外国語大学出版会、2015年)を刊行してから、丸2年。チベット文学研究会の4名による翻訳書を再び世に出すことができました。

じゃじゃーん! 雌雄の野生ヤク(チベット語で「ドン」)の油絵が表紙を彩っています。タイトルは狐ですが、絵は野生ヤク。作品にたびたび顔を出すドンという名の登場人物と関係をもたせました。


2017年3月23日木曜日

チベット映画傑作選@大阪第七藝術劇場

『草原の河』公開記念 〜ソンタルジャとの出会い〜

©GARUDA FILM
この春、チベット人監督作として初めて日本で劇場公開されるソンタルジャ監督の『草原の河』。その公開を記念して、チベット映画の秀作を大阪・第七藝術劇場にて上映します。監督のデビュー作『陽に灼けた道』をはじめ、チベット人監督の第一人者であり、ソンタルジャ監督より一足先に国際舞台で活躍しているペマ・ツェテン監督の『ティメー・クンデンを探して』を上映するほか、新進気鋭のカシャムジャ監督によるドキュメンタリー『英雄の谷』、そして「チベット牧畜民の仕事展」で好評を博したドキュメンタリー『チベット牧畜民の一日』も上映。昨年日本で公開されて大好評だったチャン・ヤン監督による『ラサへの歩き方〜祈りの2400km』も上映します。
チベット文化を深く知ることのできる作品の数々、ぜひこの機会にご鑑賞ください。

2017年3月17日金曜日

TUFS Cinema チベット映画特集

『草原の河』公開記念 〜ソンタルジャとの出会い〜

この春、チベット人監督作として初めて日本で劇場公開されるソンタルジャ監督の『草原の河』。その公開を記念して、チベット映画の秀作を東京外国語大学にて上映します。監督のデビュー作『陽に灼けた道』をはじめ、チベット人監督の第一人者であり、ソンタルジャ監督より一足先に国際舞台で活躍しているペマ・ツェテン監督の『ティメー・クンデンを探して』、『オールド・ドッグ』(2011年東京フィルメックス最優秀作品賞受賞作)を上映するほか、「チベット牧畜民の仕事展」で好評を博したドキュメンタリー『チベット牧畜民の一日』も同時上映。いずれも日本では上映されることの少ない貴重な作品です。チベット文化を深く知ることのできる映画の数々、ぜひこの機会にご鑑賞ください。